「まだ赤字なのに、本当に融資って通るんですか?」
これは創業直後の社長からよく聞かれる質問です。
でも実は、利益ゼロでも銀行から融資を引き出す社長がいます。
彼らに共通する“ある力”――それは数字よりも強い「信頼を生む力」です。
利益ゼロでも融資が通る社長の共通点とは?
こんにちは。ワタナベミエです。
銀行員として何社もの創業支援に関わってきましたが、印象的なのは「赤字=融資NG」ではないということ。
創業初期は誰もが赤字スタート。それでも融資を通せる人と、通せない人の差は明確です。
その違いを決めるのは、“利益”ではなく“説明力と再現性”。
つまり、「なぜ赤字なのか」「いつ・どう黒字化するのか」を明確に説明できる力です。
銀行が見抜いている“ある力”=再現力と自己分析力
銀行が評価するのは、経営者の自己分析の深さです。
うまくいっていない時に「なぜそうなったか」を自分の言葉で語れる人は、必ず軌道修正できる。
銀行はその姿勢を「再現力」と呼びます。
逆に、「時期が悪かった」「人がいなかった」と環境要因だけを口にする社長は、改善の再現性が見えません。
銀行員の本音:
「数字が悪くても、話が整理されている社長は“伸びる”。
決算書よりも、社長の説明に“筋”が通っているかを見ています。」
事例:利益ゼロで融資を通した2人の社長
開業資金をすべて内装と設備に投じ、半年間は宣伝も試行錯誤。
売上は安定しないが、月次で「客単価」「回転率」「リピート率」をグラフ化して分析。
面談では「この原価率なら1日5人増で黒字に届く」と根拠を示し、今後の販促策も即答。
→ 銀行は「感覚ではなくデータで判断できる社長」と評価し、運転資金を追加支援。
プロトタイプの開発にコストが集中し、初年度は利益ゼロ。
開発費を“先行投資”として整理し、損益シミュレーションを時系列で提示。
「〇月以降は月間契約数が安定、〇月で固定費をカバー」と明確に説明。
→ 銀行は「数字の裏にストーリーがある」と判断し、返済据置付きで融資を承認。
銀行員が感じる“信頼できる社長”の3つの特徴
| 特徴 | 具体例 |
|---|---|
| ① 失敗を正直に語る | 「最初の価格設定が甘かった」など具体的に話す |
| ② 数字で話す | 「1人当たり売上」「回転率」「原価率」を把握している |
| ③ “次の一手”がある | 「次は客単価アップ策として××を導入予定」など即行動 |
銀行が「危うい」と感じる社長の特徴
- 赤字の理由を「景気」「タイミング」と環境のせいにする
- 数字を見せず「大丈夫です」「すぐ回復します」で終わる
- 資金繰り表がなく、現預金残高を把握していない
利益よりも大切な“伝える力”を磨こう
銀行は「この人になら任せられる」と思えば支援します。
それは数字を飾ることではなく、課題の原因と解決策を整理して話せる力です。
この力を磨くほど、あなたの事業は自然と強くなります。
利益ゼロでも信頼を得る社長は、常に数字と向き合い、説明責任を果たしています。
「数字を語れる社長」は、必ず銀行を味方につけます。



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