こんにちは。ワタナベミエです。
飲食店は開業のハードルが低い一方で、廃業率が高い業種としても知られています。
特に「赤字が恒常的に続く」店舗には、単なる景気や一時的な売上不振ではなく、構造的な問題が潜んでいることが少なくありません。
銀行員として多くの飲食店経営を見てきた経験から、その原因と改善策を整理してみます。
結論
赤字が慢性化する飲食店は、高コスト体質・低収益モデル・数字管理不足という3つの構造的問題を抱えている場合が多いです。改善のためには、まず「損益の見える化」を行い、収益構造を根本から修正することが欠かせません。
原因① 高コスト体質
飲食店では「原価率・人件費・家賃」の3つが主要コストです。
- 原価率が40%を超えるメニューを多数抱えている
- 売上に対して人員配置が多すぎる
- 売上に見合わない高額な家賃を支払っている
これらが積み重なると、いくら客数が入っても利益が残りません。特に「立地が良いから」「食材はこだわりたいから」といった経営者の思いが、コスト過剰の原因になりがちです。
改善策:
- メニューの原価率を一品ごとに見直し、粗利の取れる看板商品を強化する。
- シフト管理を徹底し、売上予測に応じて人件費を抑制する。
- 家賃が重荷なら、移転や面積縮小も視野に入れる。
原因② 低収益モデル
集客があっても赤字になる店は「客単価」と「回転率」が低いことが多いです。例えば、ランチ需要だけに依存して夜は空いている、単価が低すぎて席を埋めても利益が出ない、といったケースです。
改善策:
- 単価アップにつながるセットメニューやドリンクの提案
- ディナーやテイクアウトなど新しい売上時間帯や売上方法を開拓
- 回転率を上げるためのオペレーション効率化
「売上=客数(席数) × 客単価 × 回転率」と分解して考えると、改善ポイントが見えやすくなります。
原因③ 数字管理不足
意外と多いのが、飲食店経営者が「毎月の損益を正確に把握していない」というケースです。帳簿は税理士任せで、日々の現金残高だけを見て判断していると、黒字のはずなのに支払いが重なった月に資金が尽きてしまうこともあります。月次で損益をチェックする習慣が、資金繰り悪化を防ぐ第一歩です。
改善策:
- 損益分岐点売上を算出し、毎日の売上と比較する
- 原価率・人件費率を月次でチェックする
- キャッシュフロー表を作り、将来の資金繰りを見通す
数字が見えれば、改善すべき箇所は自然と浮かび上がります。
原因④ 外部環境とのミスマッチ
飲食業界は流行の移り変わりが激しい世界です。かつて繁盛した業態が、健康志向やデリバリー需要の拡大に対応できず、取り残されることもあります。さらに近隣に競合が増えれば、同じ商品・価格帯では勝負になりません。
改善策:
- 定期的に客層の変化を分析し、メニューやサービスを刷新する
- 他店との差別化ポイント(雰囲気・サービス・商品ストーリー)を磨く
- デリバリー・SNS集客など新しいチャネルを積極活用する
赤字が続いたときにまず取り組むべきは資金繰りの改善です。詳しくはこちらの記事もご覧ください 👇
中小企業の資金繰り改善術
業態ごとの粗利率比較
飲食店の業態によって「原価率(食材コストの割合)」や「利益の出しやすさ」は大きく異なります。下記の表にまとめました。
| 業態 | 原価率目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ファミレス・食堂 | 30%前後 | 大量仕入れでコストを抑えやすい。薄利多売で回転率勝負。 |
| すし店 | 35〜45%(高級店は50%近く) | 魚介類の価格変動が大きく、廃棄リスクも高い。職人依存度が大きい。 |
| 居酒屋 | 30〜35% | ドリンクで粗利を確保できる。料理のみでは利益率が低め。 |
| 西洋料理 | 30〜40% | 輸入食材が多くコスト変動に弱い。単価は高いが回転率は低め。 |
| ラーメン店 | 30〜35% | 原価率が低く粗利を出しやすい。回転率が高く収益化しやすい。 |
同じ飲食業でも、ラーメン店や居酒屋は比較的粗利を出しやすい一方、寿司やフレンチなどは高単価でも原価率が高くリスクが大きいのが特徴です。
まとめ
恒常的に赤字が続く飲食店には、必ずと言っていいほど「収支構造上の問題」が潜んでいます。
- コストを抑えて利益を残す
- 客単価や回転率を上げて売上を伸ばす
- 数字を把握して改善を続ける
この3つを実行できるかどうかが、再建の分かれ道です。
飲食店経営は華やかに見える一方、実際は数字との戦いです。赤字が続いている場合は「気合い」や「流行待ち」ではなく、冷静に数字を直視し、構造を変える勇気が必要です。銀行も数字に基づいた改善を進める経営者には前向きに支援します。
赤字が続くと「もうダメだ」と思いがちですが、原因を特定し改善を積み重ねれば、再生できる可能性は十分にあります。
※本記事で使用している業態別原価率・粗利率データは、日本政策金融公庫「創業の手引+」(2024年6月)、同「小企業の経営指標調査」、中小企業庁「中小企業実態基本調査」などの公開資料を参考にしています。実際の数値は地域や店舗規模により異なる場合があります。
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