銀行員の本音シリーズ 第3話:お客様と“本音”で向き合った支店長

銀行の支店長

こんにちは。

ワタナベミエです。

銀行員の本音シリーズ、支店長編の第3話は、「本音でぶつかる」ことを恐れなかった、ある支店長の姿をお届けします。


ご機嫌取りでは、信頼は得られない

最近の銀行では、「お客様第一主義」が強調される一方で、本音の対話が少なくなっていると感じます。

お客様の顔色をうかがい、何か言われたらすぐに本部へ報告。
現場の支店長自身が、自分で考え、判断し、責任を取るという姿勢が薄れてきたように思います。

昔の支店長たちは違いました。
お客様に対しても、必要であれば正面から向き合い、時には言いにくいこともハッキリ伝える
その姿勢が、結果的に信頼を生んでいたのです。


“あえて言う”という覚悟

ある支店長は、取引先のお客様の行動に疑問を感じました。

細かい内容は伏せますが、簡単に言えば——
そのお客様の取引態度に、銀行として見過ごせない問題があったのです。

多くの人は「まあまあ」とお茶を濁し、そのまま見て見ぬふりをするか、無難に処理して済ませたでしょう。

でもその支店長は違いました。

「これまでの関係もあるが、今回の件は到底看過できない」と、
そのお客様に対して、今後一切の取引をお断りするという決断を下したのです。

事務的ではなく、淡々とでもなく、“信義”に基づいた毅然とした態度でした。


本音でぶつかることが、信頼を築く

こういう話をすると、「そんな支店長、今どきいないよ」と言われそうですが、
本音を語り合える関係は、今も昔も変わらず大切です。

昔の支店長は、週末にはお客様と釣りやゴルフ、時には一泊の温泉旅行にまで同行しながら、
商売の悩みや資金繰りのことまで、酒を酌み交わして本音で話していました。

もちろん、時代が違います。
今のコンプライアンスでは許されないような部分もあったかもしれません。

でも、「本音で関わる」ことまで忘れてはいけないと思うのです。


支店長は“役職”ではなく“信念”で語られるべき

今の支店長は、地方配属になると週末にはさっと自宅に帰り、
お客様との付き合いも最低限にとどめる人が増えている印象です。

本部の指示に従って仕事を回す。
何か起きればすぐに報告書を作り、本部の判断を仰ぐ。
ある意味、模範的な動きではあります。

でも、それだけで「支店を任されている」と言えるのでしょうか。

現場で何が起きているかを肌で感じ、
お客様との関係のなかで自分の言葉を持ち、
ときには正面から向き合う——

それが、支店長という役割の“本質”ではないかと思うのです。


まとめ:本音は時にリスク。でも、それが信頼を生む

お客様のために汗をかく——
それは本来、「言いなりになること」ではありません。

言いにくいことも、
耳が痛いことも、
誠実に、そして本気で伝える。

本音のやりとりにはリスクも伴いますが、
それを恐れない覚悟こそ、支店長としての誇りなのではないでしょうか。

次回の記事は 『銀行員の本音シリーズ第4話 : 語る支店長より、支える支店長に─銀行員が見た支店長の“器”の違い です。

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