財務が弱くても融資は受けられる? 銀行が見る「事業性評価」の正体

銀行活用術

こんにちは。ワタナベミエです。

「決算が赤字だから、うちには融資は無理ですよね…」
そんな声を経営者からよく聞きます。でも実は、財務内容が多少悪くても、融資が通るケースもあります。
銀行が最近重視しているのは、過去の数字だけでなく「将来に稼ぐ力があるか」という視点――それが事業性評価です。


事業性評価とは?銀行が変わり始めた背景

かつて銀行融資は、決算書と担保・保証で判断されるものでした。しかし中小企業の中には、資産が少なくても成長性のある会社が多い。
そこで金融庁が2015年頃から方針転換し、「財務だけでなく事業内容・将来性を評価する融資」を各行に求めるようになりました。

つまり、赤字や自己資本比率が低い会社でも、事業モデルや経営者の考え方に納得できれば融資が通る可能性があるということです。

銀行が見る“非財務情報”とは

事業性評価の中心になるのが、財務以外の情報(非財務情報)です。たとえば次のようなものがあります。

  • 経営者の人柄・経営理念・行動力
  • 主要取引先や仕入先との関係性
  • 顧客層の安定性、リピート率
  • 業界内でのポジションや強み
  • 今後の事業計画(新規事業・販路開拓など)

銀行員はこうした情報を、面談や現場訪問(ヒアリング)を通じて確認します。最近では、数字以上に社長の考え方や説明力が審査の決め手になることも珍しくありません。

事業性評価で高評価を得るためのポイント

では、どのように準備すれば良いのでしょうか。ポイントは次の3つです。

① 自社の「強み」を具体的に言語化する

「うちは地域密着型です」ではなく、
「創業20年で地域内の同業他社の半分以上と取引実績がある」といった根拠のある表現が必要です。

② 将来の数字を“見える化”する

3年後の売上・利益見通しを具体的に示し、なぜそうなるのか説明できる資料を用意しましょう。
たとえば「新規出店による売上+10%アップ」「原価率2pt改善」など、根拠ある計画を提示することが重要です。

③ 銀行との面談を「提案の場」と考える

銀行に“お願い”するのではなく、
「こういうビジネスを展開したい。そのための資金をどう組み立てられるか」
相談型で話す姿勢が信頼につながります。

担当者はあなたの“ストーリー”を求めている

銀行員は単に数字を審査するだけではありません。社長の思いや事業のストーリーを理解しようとしています。
ただし、感情的なアピールではなく、「理念と数字」をセットで語ることが大切です。

例:
「地域の食文化を守るために直販を強化したい。
年間○○万円の設備投資で、粗利率が3%改善する見込みです。」
→ 感情+数字の両立が「事業性評価」で強く響く。

まとめ|銀行を“味方”につけて、融資の可能性を広げよう

事業性評価は、単に融資を受けるための制度ではありません。
経営者自身が自社の強みや将来像を整理し、「なぜこの事業に銀行が投資すべきか」を言語化するためのツールです。

そしてもう一歩踏み込めば、銀行は経営を共に考えるパートナーになり得ます。
融資の可否だけでなく、課題の発見や経営改善のヒントをもらえる存在です。
「どうせ銀行は貸してくれない」と距離を置くのではなく、銀行をうまく活用して事業を成長させるという視点を持つことが、これからの時代の“融資成功の近道”です。

数字は大切ですが、数字がすべてではありません。
あなたの事業の可能性を、銀行員にどう伝えるかが勝負です。


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