銀行員の月末|融資は最後は“人”だと痛感する瞬間

銀行員の本音

月末の銀行は、少し空気が張りつめる

銀行員にとって「月末」とは、少し特別な響きを持つ日です。
約定返済日を月末に設定している取引先が多く、支店全体が返済状況の確認や延滞対応でそわそわしています。
朝からパソコンの画面と預金残高をにらめっこしながら、電話やメールが飛び交う──そんな光景は、毎月の恒例行事のようなものです。

そして不思議なことに、延滞する先はほぼ決まっています。
先月も遅れて、今月も遅れて、次の月もまた同じ。
「今月こそ大丈夫だろう」と思っても、やっぱり入金はなし。
こちらも何度も「今月こそは」と声をかけ続けていますが、結果は変わりません。
そんな中、驚くことに──延滞常習のその先が「新しい融資をお願いしたい」と相談してくることもあります。

正直、「どういうメンタルなんだろう」と思う瞬間です。

一方で、常時延滞している先が“完全に音信不通”になることも珍しくありません。
最初は電話に出ていたのに、数日後には応答なし。
会社に行っても留守、社長の自宅に行っても明かりはついているのに居留守を使われる。
口座を見ると全額が払い出されていて、返済資金の入金予定も見えない──そんなことが、なぜか月末に集中します。

返済が遅れる先に見える“人のリアル”

銀行はお金を貸す側として、財務内容を精査し、返済能力を確認し、事業の将来性を見極めます。
でも、長年この仕事をしていると痛感するのです。
経営というのは、良い時期があれば悪い時期もある。
どれだけ慎重に審査しても、予測不能なことは起きる。
そして最後に残るのは、数字ではなく「人」そのものです。

資金繰りが厳しくなったときに、きちんと銀行へ相談してくれる人がいます。
「今月はこういう事情で遅れます」「次の入金で必ず調整します」と、正直に話してくれる人。
そういう方は、たとえ一時的に延滞しても、最終的に信頼を失いません。
銀行も「この人ならまた頑張ってくれる」と思えるのです。

反対に、返済が滞っているにもかかわらず、どこか飄々とした態度で新しい融資を頼みにくる人もいます。
中には、延滞を重ねたまま商売を続け、なぜか平然としている人も。
さらに悪化すると、借金を放置して行方をくらます人、整理屋に依頼して借金を踏み倒そうとする人、
あるいは、焦りのあまり怪しいコンサルに傾倒し、高額なコンサル料を支払ってさらに資金繰りを悪化させる人までいます。

【銀行員の視点】
融資は「お金の話」に見えて、実は「人の話」です。
どんなに数字が良くても、経営者が現実から目をそらせば、事業は立ち行かなくなる。
逆に数字が悪くても、誠実に相談してくれる人には、必ず次のチャンスがある。
信頼を築くのは、報告・相談・誠実さの積み重ねです。

最後に残るのは「人」への信頼

月末の返済確認をしていると、そんな“人の明暗”がはっきりと見えてきます。
銀行の仕事は、数字と人の間で揺れ続ける仕事。
どちらも欠かせませんが、最後に残るのは「この人を信頼できるかどうか」という一点です。
数字ではなく“人への信頼”──そんな思いが、融資の現場を支えている気がします。


あわせて読みたい

コメント

タイトルとURLをコピーしました