権利だけ主張して責任を取らない人|どの職場にもいる“困った同僚”の正体と対処法

銀行員の本音

こんにちは。ワタナベミエです。

銀行で仕事をしていると、どこの支店にも一人はいる——権利だけは強く主張し、責任は引き受けようとしない人

・家族の用事といって頻繁に休む
・育休も予定以上に長く取得する
・毎日17時きっかりに退社
・休んでいる間の仕事は同僚任せ
・親睦会などは絶対に出ない
・上司の面接では挑発的な受け答え

こうした人物に悩まされている方も、多いのではないでしょうか。銀行に限らず、どんな職場にも“似たような存在”が一定数いるように感じます。

この記事では、なぜこうした人が生まれるのか、どんなリスクがあるのか、そしてどう距離を取ればいいのかを、銀行での実務経験をもとに紐解いてみます。

権利を使うこと自体は悪くない。問題は“使い方”にある

まず大前提として、有給休暇も育休も定時退社も、すべて法律で守られた大切な権利です。これらを使うこと自体は、まったく悪いことではありません。むしろ、心身の健康や家庭との両立のためにも、きちんと権利を行使することは大切です。

ただ、現場で見ていると、権利の使い方によって周囲の受け止め方が大きく変わることを実感します。

本来であれば、

  • 事前にきちんと引継ぎをしておく
  • チーム全体の繁忙状況を見ながら休みを調整する
  • 重要案件のタイミングは、なるべく外すよう配慮する

といった気遣いが必要です。

ところが、こうした配慮がまったくなく、休んでいる間の仕事を当然のように同僚に丸投げしてしまうと、周囲は「権利だけ主張して、責任は負わない人」という印象を強く持ってしまいます。

権利と責任は、本来セットで考えるべきものです。働き方改革の流れの中で権利だけが強調されると、このバランスが崩れてしまうことがあります。

若い時にキャリアを積まないと、後で本当に苦しくなる

ここで、もう一つの現実的な視点をお伝えしたいと思います。

働き方改革が進み、定時退社や休暇取得が尊重される時代になりました。これは、とても良い変化です。しかしその一方で、20〜30代のうちにどれだけ経験を積み、信用を得ておくかが、40代以降のキャリアを大きく左右するという事実も変わりません。

銀行でいえば、

  • 融資案件をどれだけ担当してきたか
  • 顧客との関係をどれだけ築いてきたか
  • 本部や支店長から「任せられる人材」と思われているか
  • 責任の重い仕事を引き受けてきたか

こうした積み重ねは、一朝一夕では身につきません。若い頃に避け続けてしまうと、年齢だけが上がり、実務レベルや信用が追いついていない状態になってしまいます。

40代になってから急に「これから頑張ります」と言っても、若手のようにゼロからやり直すことはできません。だからこそ、若い時に「それなりのキャリアを積んでおくこと」には確かに意味があるのです。

では、なぜこうしたタイプが職場に生まれるのか?

こうした「権利だけ強く主張し、責任を取ろうとしない人」は、性格だけの問題ではありません。職場や組織の構造が、その行動を助長している場合も多くあります。いくつか代表的なパターンを挙げてみます。

  • ① 頑張っても報われない経験が続いた
    どれだけ頑張っても評価されない、昇格の枠が少ない、上司の好みで評価が決まる——。そんな環境が続くと、「頑張るだけ損だ」という学習が起きます。その結果、「最小限だけやって、あとは自分の生活を優先する」という割り切ったスタンスに振れてしまう人が出てきます。
  • ② 仕事内容と本人の適性が合っていない
    対人折衝が苦手なのに営業職にいる、数字やリスク判断に向いていないのに融資を担当しているなど、そもそも仕事とのミスマッチがあるケースです。向いていない仕事を続けると、人は「どうやって負担を減らすか」を優先しがちになります。
  • ③ ストレスから“防御モード”に入っている
    銀行の仕事は、クレーム、ノルマ、上司のプレッシャーなど、精神的な負荷が大きい仕事です。その中で、自分を守るために「責任の重い仕事は絶対に引き受けない」「面倒なことには関わらない」という防御的な行動に出る人もいます。
  • ④ 周囲がフォローし続けることで行動が固定化する
    同僚や上司が「仕方ないから」とフォローを続けてしまうと、本人は「自分がやらなくてもどうにかなる」と学習してしまいます。これがクセになり、行動がどんどんエスカレートしていきます。
  • ⑤ 評価制度が“協働姿勢”を測れていない
    数字や実績だけが評価される組織では、「チームワーク」「周囲への配慮」「見えない貢献」が軽視されがちです。その結果、協力姿勢に乏しい人が、長く温存されてしまうことがあります。

こうしたタイプが“危険人物化”するケース

ここでいう「危険」とは、暴力的という意味ではなく、周囲や組織に深刻な悪影響を与える存在になるという意味です。放置すると、次のような状態に発展することがあります。

  • 業務放棄に近い行動がエスカレートする
    期限を守らない、顧客対応を先延ばしにする、審査資料を出さないなど、「やらないこと」が増えていきます。その分のしわ寄せは、すべて周囲にかかります。
  • 重大なミスや事故につながる
    銀行であれば、与信管理の漏れ、担保設定の遅れ、重要な契約手続きの抜けなど、後から取り返しのつかない事態になることもあります。
  • 職場の雰囲気を悪化させる
    陰口や不満をばらまいたり、上司や同僚に挑発的な態度を取ったりすることで、支店全体の士気が下がります。特に若手に悪影響が及ぶと、組織としてもダメージが大きくなります。
  • 自己防衛のために攻撃的になる
    注意されると逆ギレしたり、「自分は悪くない」「周りが悪い」と言い張ったりして、対立構造が生まれます。こうなると、マネジメントのコストも一気に上がります。

私たちが取るべき距離感とは?

正直なところ、こうしたタイプの人を根本から変えることは、ほとんどできません。人は、他人から変えられると感じた瞬間に強く抵抗するからです。

だからこそ、私たち自身がどう距離を取るかが重要になります。

  • 必要以上に深く関わらない
  • 自分の担当範囲や責任を明確にして、線引きをはっきりさせる
  • 感情的にならず、事実ベースで淡々と接する
  • 一人で抱え込まず、上司や組織を巻き込んで対応する

どの職場にも、似たような人は必ずいます。もしあなたがこのようなことで悩んでいるとしたら、それは決して特別なことではありません。

大切なのは、「その人を変えようとしないこと。」そして、「自分の心とキャリアを守ること。」だと私は思います。

この記事が、同じような悩みを抱えている方の小さなヒントになれば嬉しいです。

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