【有利な条件の融資を引き出すには】経営者が銀行支店長を上手に使う交渉術

銀行活用術

こんにちは。ワタナベミエです。

今の銀行では、融資案件検討の際に、本部の力が強く支店長の裁量が大きいとはいえません。「権限が限られている」「自由度が少ない」ように感じます。
昔のように「現場の裁量が大きく、支店長の人間力が融資の可否に直結していた時代」は終わりました。今の支店長は本部の方針を伝える役割に近く、経営者からすると「ただの伝言係」に見えるかもしれません。

しかし、支店長は依然として融資案件を本部へ持ち込む入り口です。ここを味方につけることで結果は大きく変わります。経営者が本部を納得させるために支店長をどう使うべきか――その具体的なポイントを整理していきます。

支店長が動きやすい材料を揃える

支店長が最も避けたいと思うのは「本部に突っ込まれて答えられない案件を上げること」です。だからこそ経営者は、支店長が本部に説明しやすいよう、万全の材料を揃えて渡す必要があります。

  • 資金繰り表:最低でも12か月分を作成した方が良いでしょう。1年以上先は予想するのが難しく精緻性も落ちるため、1年分程度を具体的に作り込みましょう。月ごとの入出金を整理し、融資を受けた後の返済可能性を数字で示すことが重要です。
  • 事業計画書:売上の根拠、市場環境などを盛り込み、資金がなぜ必要なのか? その投下資金で何を改善し、どんな成果を得るのかを筋道立てて説明する。数字で語れる計画が必須です。
  • 投資メリット:融資を受けた際の投資側(顧客側)の投資効果と、銀行にとってのメリットの両方がなければ融資は通りません。例えば、賃貸物件の価格が相場より高すぎる場合や、設備投資の金額が過大な場合、収益性や返済可能性に乏しいと判断され、投資側のメリットを見いだせず融資は難しくなります。

「支店長が本部からどんな質問を受けるか」を想定し、できればその答えまで資料に盛り込んでおくとさらに効果的です。支店長が説明に困らなければ、案件を通すハードルは一気に下がります。

支店長の心理を逆手に取る

現代の支店長は「お客さまのため」よりも「自分の評価」を優先する傾向があるように思います。この心理を理解して、逆に利用してやりましょう。

  • 「本部に対する説明がしやすいな」と思わせる資料を整える。
  • 「この融資は銀行にとってもプラスです」と銀行側のメリットも強調する。
  • 「一緒に本部を説得してください」と共闘姿勢を示す。

支店長は「自分の評価を下げない」と確信できれば動きます。つまり、経営者は「支店長と協力する仲間」になることで、案件を前に進められる可能性が高くなるのです。

支店長を利用する”交渉術”

融資交渉は支店長に丸投げせず、経営者自身が流れを設計することが重要です。支店長は本部との橋渡し役に過ぎません。こちらが戦略を描き、その通りに進めてもらうくらいの意識を持つとさらにいいと思います。

  1. 事前準備:資金繰り表・事業計画を完璧に整え、突っ込みどころをなくす。
  2. 支店長への説明:「銀行の方針を踏まえて、銀行の基準に沿った改善策を用意した」と伝え、支店長が安心して案件を本部に上げられる状態にする。
  3. 想定問答の提示:「本部にこう聞かれるだろう」と想定した質問を先回りして考える。
  4. 共闘関係の構築:「ぜひ本部に前向きに伝えていただけると助かります」と支店長を”味方役”として位置付ける。

ここまで準備を徹底すれば、あなたの融資案件は支店長にとって「本部に上げやすい案件」に変わります。

まとめ:支店長は有利な条件の融資を引き出すためのパートナー

かつては支店長の裁量で融資が決まることもありましたが、今は本部主導で支店長の自由度は小さくなりました。それでも、支店長は本部を動かす入口として欠かせない存在です。

経営者ができる最大の戦略は、支店長に「これはあなたの評価がプラスになる案件だ」と思わせること。そのためには、資金繰り表や筋道立てた事業計画、そして投資する側と銀行双方にメリットのある投資効果を提示することが不可欠です。

銀行は変わりましたが、その中で融資を引き出す道は残されています。次回は「銀行支店長のタイプ別攻略法」について詳しく解説します。あなたの担当支店長はどのタイプに当てはまるのか――気になる方はぜひこちらもご覧ください。

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