創業融資を通すための事業計画書の書き方|銀行員が教える3つのポイント

融資を受ける

こんにちは。ワタナベミエです。

創業したばかりの経営者にとって、銀行融資を受ける際の最大の壁が「信用情報がない」ことです。
では、どうすればその壁を越えられるのでしょうか。
鍵を握るのが事業計画書です。

銀行員が事業計画書を見るとき、実は“数字の正確さ”もさることながら、その計画の“説得力”を重視しています。
今回は、銀行が納得する事業計画書の書き方を、融資担当者の目線で解説します。


銀行が知りたいのは「事業の再現性」

銀行は「この事業が本当に実現するのか?」を見ています。
つまり、計画が“夢物語”ではなく、“再現性のあるストーリー”になっているかどうかです。

たとえば、ある飲食店の事業計画書に次のような記載があったとします。

(悪い例)
「1日50人来店、客単価1,000円で月売上150万円を見込む」

一見、数字が書かれているように見えますが、なぜ50人なのか?という根拠が抜けています。
これでは銀行は「どこからその数字が出たの?」と感じてしまいます。

一方、次のように書くと印象が一変します。

(良い例)
「商圏内1kmにある競合5店の平均客数は40人/日。
当店はランチタイムのテイクアウト導入で+10人の上積みを見込む。
客単価1,000円×50人=一日の売上5万円、一ヶ月の売上150万円」

このように、数字の根拠をセットで説明することで、「なるほど」と思わせる“再現性のある計画”になります。


収支計画は「売上」よりも「利益と資金繰り」を見せる

経営者が創業計画書を作るときに、一番気に掛けるのは売上だと思いますが、実は銀行員が見ているのは利益とキャッシュフローです。
銀行は「返済に耐えられる利益が出るか」を重視します。

たとえば、以下のような損益計画があったとします。

項目 金額(月)
売上 1,500,000円
原価 600,000円
人件費 400,000円
家賃・光熱費 150,000円
その他経費 100,000円
営業利益 250,000円

もし毎月25万円の利益が出るなら、年間300万円の利益。
設備資金の返済が月5万円なら、十分に返済可能です。
銀行が確認したいのは、まさにこの「利益から返済できるか」なのです。

逆に、売上だけ立派でも経費の裏づけがない計画書では信頼を失います。

資金繰りを考えるときの盲点

計画を立てる際は「利益が出る=資金が残る」と思いがちですが、実際は違います。
仕入れの支払いのタイミングや、税金などの支払い月考慮しないと、黒字でも資金ショートする可能性があります。

  • 毎月の支出:仕入・家賃・人件費(社会保険料も含む)・リース料
  • 賞与支払い(毎年7月・12月など)
  • 固定資産税の支払い(年に4回)
  • 自動車税の支払い(5〜6月)
  • 法人税・消費税の支払い(事業年度終了日の翌日から2か月以内)

たとえば、月の売上が150万円・経費が120万円として利益が出る場合でも、法人税や消費税の納付が重なる月には別途資金が必要になることもあります。
銀行はこうした「月次の資金余裕」を見ています。


自己資金を準備して本気度を見せる

創業融資では、自己資金の有無も審査の分かれ目となります。
たとえば、必要資金500万円のうち、自己資金が50万円しかないと、「準備不足」と判断されます。
一方で200万円を自己資金として積み上げていると、銀行は経営者の「本気度」を感じます。

創業融資の目安として、総資金の2〜3割の自己資金を理想としています。

つまり、
必要資金500万円 → 自己資金100〜150万円あれば信用が高まる、ということです。


銀行が“信じたくなる”計画書とは

銀行員は毎日、多くの書類を見ています。
数字が整っていても「熱意」や「根拠」が感じられないと、融資には踏み切れません。

逆に、手書きでも丁寧に作り込まれた資料や、店舗の図面・見積書・見込み客リストなどが添付されていると、
「この経営者は本気だな」と感じます。

計画書は、単なる書類ではなく、あなたの“信用を伝えるツール”です。
数字の根拠や銀行員が納得できる“ロジック”と“経営者の覚悟”が重要です。


まとめ:数字とストーリーで資金調達を成功させよう

創業間もない会社が融資を通すには、過去の実績がない分、事業計画書で未来を見せるしかありません。
数字は小さくても構いません。
「なぜそう見込むのか」「どうやって実現するのか」を丁寧に説明することで、銀行の信頼は得られます。

計画書は“融資のための資料”ではなく、“経営の羅針盤”でもあります。
自分自身が納得できる数字を組み立て、銀行を味方につけましょう。


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