それ、思い込みです!銀行員がよく出会う経営者の5つの勘違い

銀行融資

こんにちは。ワタナベミエです。

日々、経営者の方々と融資や資金繰りについて話す中で、「これは危ないな」「本質を見誤っているな」と感じる“思い込み”に何度も出会ってきました。

そこで今回は、実際の現場で多くの経営者が陥りがちな5つの思い込みと、そのリスクについてお話しします。


売上が伸びていれば資金繰りは安心?

「うちは売上が伸びているから、資金は問題ないです」
これは典型的な思い込みです。

売上は重要な指標ではありますが、実際に現金が手元に残っていなければ返済もそのほかの支払いもできません。

特に注意したいのが、売掛金と在庫です。売上が増えても売掛金の回収が遅れれば手元にお金は入りませんし、在庫が過剰になれば資金はモノに変わったまま動かなくなります。

つまり、売上だけで安心するのは早計であり、現金の流れ=キャッシュフローを常に意識する必要があります。


黒字なら銀行は融資してくれる?

「黒字だから融資も問題ないですよね?」

これもよく聞く言葉ですが、銀行は“利益”より“キャッシュフロー”を重視します。

帳簿上の利益が出ていても、営業キャッシュフローがマイナスなら、銀行は「返済原資がない」と判断します。

さらに、黒字でも売掛金や棚卸資産が膨らんでいれば、資金は滞留し、実際には使えるお金が足りないことも。

このような状態を銀行は「資金繰りにリスクがある」とみなすため、黒字=安全とは言えないのです。


決算書は税理士に任せておけば大丈夫?

「決算書は税理士にお願いしてるから自分は見てません」

このスタンスの経営者も多いですが、決算書は経営の“通信簿”です。

最低限、自社の利益構造や財務バランス、借入の状況くらいは把握しておくべきです。

銀行とのやり取りにおいても、決算書の内容に無関心な経営者は「当事者意識が薄い」と受け取られ、融資判断に影響を及ぼすことがあります。


数字が苦手だから、借入や交渉は人任せでいい?

「自分は現場のことはわかるが、数字のことは経理担当に任せているからわからない」
「借入やリスケの相談は、コンサルが金融機関と直接やるので自分は関係ない」

こうした“経営から数字を切り離す”スタンスの経営者も少なくありません。

しかし、銀行との交渉において、経営者本人の言葉で説明できない会社には信頼が集まりません。

コンサルや担当者が説明しても、銀行員は「本当にこの社長が理解しているのか?」「将来の見通しを語れる人なのか?」を見ています。

実際、「社長は同行されないんですか?」と聞いたとたん、慌てる経営者もいます。

また、数字がわからないまま人任せにすると、内容が曖昧なまま話が進み、後になって「そんな条件で借りた覚えはない」とトラブルになることも。

経営者にとって「数字は苦手」は言い訳になりません。自社の資金繰りや返済能力を自分の言葉で説明できることが、経営者としての責任であり、信頼の第一歩です。


リスケは単なる返済猶予だと思っていない?

「税理士にすすめられたから、とりあえずリスケをお願いしてみようかと…」

リスケ(返済条件の変更)は確かに資金繰りを緩和する手段ですが、安易に行うと後に大きな影響を及ぼします。

一度リスケをすると、新規融資が止まったり、金融機関からの信用が下がったりする可能性があります。

特に多いのが、「リスケ=ラクになる」と勘違いしているケース

本来、リスケは事業の再生に向けた準備期間であり、その間に改善計画を着実に進める必要があります。

その意識がないままリスケを受け入れると、逆に経営の選択肢を狭めてしまいます。


まとめ:正しい知識で“資金の流れ”を見極めよう

経営者が自ら資金繰りや決算書の中身を理解していくことは、銀行との関係構築や経営の安定に直結します。

思い込みに頼らず、数字と現実を見つめる力こそ、これからの経営には欠かせません。

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