こんにちは。ワタナベミエです。
資金繰りに窮し、銀行の窓口で融資の相談をするー「なぜ融資が受けられないのか」を理解できない社長がいるのが現実です。
お金がないから借りたいのに、どうして断られるのか。
社長にとっては理不尽に映るかもしれませんが、銀行から見れば「融資してはいけない状況」があるからです。
この記事では、融資の現場で起こる「銀行が融資を断るときに着目しているポイント」と、「経営者が誤解しがちな論点」を整理します。
結論
融資は本業で継続的に生まれるキャッシュフローで返済するのが前提です。
売上計画の裏付けが弱く、コスト削減の根拠が乏しく、さらに売上を上げるために本業以外の収入に依存する説明が混ざると、返済の確実性は担保できません。
経営者が自社の実態を正確に把握できていなければ、計画は絵に描いた餅にすぎません。銀行が一番警戒するのは実態を直視していない社長なのです。
結果として融資を「謝絶」する場面は多いのです。
理由 — 銀行が貸せない3つの論点
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売上の裏付け不足
受注残高・契約書・発注書・見積書・発注予定のエビデンスが計画と整合せず、「計画の半分しか受注が存在しない」などの乖離があると実現性が疑われます。 -
コスト削減の検証不足
「外注費を下げる」「人件費を抑える」といった方針だけでは不十分です。いつ、いくら、どう変えるのか——見積書・契約条件の再交渉計画まで必要です。 -
返済原資を本業以外の収入に依存する
「不足分は本業以外の収入で補う」といった「売上が上がれば何でもいいでしょう。」という説明は、事業の継続性・規模感・経営専念の観点でリスクが高く、返済可能性の評価を下げます。
具体例 — よくある計画のつまずき
- 売上計画の数字は大きいが、確度の高い案件は計画の半分程度しかない。
- 「外注費を20%削減」と書かれているが、相見積や代替調達の裏付けがない。
- 返済原資の不足分を本業以外の収入で埋める前提になっている。
この組み合わせは、銀行の審査で最も否定されやすいパターンです。理由は明快で、事業の継続性と再現性が確認できないからです。
誤解 — 社長が陥りがちな3つの思い込み
- 誤解1:「お金がない ≠ 融資が出る」
→ お金がないことと、融資が実行されることはイコールではありません。銀行は「資金が足りない会社」だからこそ融資に慎重になります。現状の資金不足を埋め合わせるだけでは、問題の先送りにしかならないからです。融資は「返せる根拠」が整ったときに出ます。 - 誤解2:「リスケ ≠ 事業再生」
→ 返済が困難になった時、銀行はリスケ(返済条件変更)に応じることもあります。「時間を稼いでいる間に」事業自体を立て直す再生の手段として使われる方法です。一方でリスケはただの時間を稼ぐ手段となってしまうこともあります。事業そのものが利益とキャッシュを生まなければ、それは事業再生とは言えません。 - 誤解3:「経費を削れば勝手に利益が出る」
→ 経費を削減することで、品質や納期にどういう影響があり、その影響が売上にどのような影響を与えるのかを織り込まない削減は、逆に利益を毀損することにもなりかねません。役員報酬を極限まで減らして、社長自身の生活にどんな影響が出るのかを考慮しない計画も現実的とは言えません。
お金が借りられなければどうすればいいのか?
銀行から融資を断られた場合にリスケ(返済条件変更)という手段もあります。リスケは返済条件を緩和することで資金繰りのひっ迫を一時的に和らげる手段です。
しかし、本業がキャッシュを生む構造に変わらなければ、遅かれ早かれ同じ壁にぶつかります。融資を受ける場合でも、リスケをする状況になった場合でも、銀行が見たいのは「根拠に基づいた事業計画であり、事業を継続するための具体策」です。
事業継続に向けたチェックポイント:
・高確度の売上の積み上げ(受注台帳の見直し/契約の進捗状況の確認)
・粗利を増やす施策(価格や販売数量の見直し/低採算取引の縮小・撤退)
・経費の削減(内製化や他業者と比較して外注費や人件費を見直す)
・遊休資産の売却・圧縮(効果とタイミングを意識した資産の整理)
何から変えるべきか — 明日からできる6ステップ
- 資金繰り表の整備:入出金の計上する精度を上げて、ズレを毎週検証。
- 売上の裏付け可視化:受注台帳に確度・単価・粗利・入金サイトを付記。
- コスト削減の根拠化:相見積・条件変更の合意見通しを文書化する。
- 本業キャッシュの設計:価格改定・取扱い商品やサービスの整理・在庫回転・前受活用を数値化。
- 返済可能額の算定:本業で稼いだ利益から経費や税金を引いて、最終的に「いくら返済に回せるか」を数値化。
- 第三者の伴走:自分ひとりで事業立て直しが不可能な時は、認定支援機関/商工団体/保証協会等の支援策を活用。
資金繰りの考え方や、お金が残らない理由については
資金繰り表の作り方と注意点
に詳しくまとめています。
まとめ
- 「融資は“足りない資金の穴埋め”」ではなく、「事業を成長させるための”種銭”と考える。
- 売上の裏付け・コスト削減の根拠・本業のキャッシュ創出が鍵。
- リスケは時間稼ぎ。その時間で会社の何を変えることができるのかを示すことが再生の第一歩。
目の前の資金難を埋める発想から、事業をキャッシュフロー体質に変える発想へ。ここが変われば、銀行の見方も大きく変わります。



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