こんにちは。
ワタナベミエです。
銀行員の本音シリーズ、支店長編もいよいよ第5話です。
最終回となる今回は、これまで描いてきた現場でのモヤモヤや失望を踏まえたうえで、
それでも支店長という存在に私が希望を感じている理由をお伝えしたいと思います。
支店長に完璧を求めているわけではない
このシリーズでは、昔と比べて“器が小さくなったように感じる支店長”や、
“他人の言葉を借りて語るだけの支店長”、“本音でぶつかろうとしない支店長”について、率直に書いてきました。
でも私は、支店長が「全部できて当たり前」だとは思っていません。
役職に就いたからといって、すぐに人格者になるわけでもないし、
人間性も、器も、信頼も、一朝一夕で備わるものではありません。
それでも、自分の信念を持って仕事をしている支店長たちには、やはり心から尊敬の念を抱かずにはいられません。
私が心を打たれた支店長たち
ここで、私が実際に出会った“信念ある支店長”たちのエピソードをご紹介します。
出世を手放してでも、自分を曲げなかった支店長
ある支店長は、将来役員になれる可能性が十分にある立場にいながら、
「くだらない争いに巻き込まれるのは、もううんざりだ」と言って、自ら別会社に出向することを選びました。
その言葉を聞いて、私は驚いたと同時に、支店長も本当はすごく辛いんだと感じました。
自分の立場を捨ててでも、信念を貫くその姿勢に、むしろ本音の人間らしさを感じたのです。
「俺は違うと思う」と言ってくれた支店長
直属の上司に個人的に嫌われていた私は、ある評価面談の場で心が沈んでいました。
そんなとき、支店長がこう言ってくれたのです。
「確かにあなたのことをよく思っていない上司がいるのは知っている。
でも、俺は違うと思う。その人の評価は参考にはするけど、鵜呑みにはしない。
自分が実際に見て感じたことを、俺の評価としてつける。」
私はこの一言で救われました。
人の感情ではなく、自分の目で見たものを信じる姿勢。それが信頼を生むのだと実感した瞬間でした。
ミスを責めず、冷静に受け止めてくれた支店長
銀行で私が過去に大きなミスをしてしまったことがありました。
必死に事情を説明する私に対し、その支店長はこう言いました。
「まず、あなたの言い分をちゃんと聞かせてほしい」
処分が下ることは当然でしたが、その後、
「これは上司の管理不足が引き金になっている」と本部にしっかり説明してくれました。
多くの支店長が自分に飛び火するのを恐れて、担当者の責任にして幕引きを図ろうとします。
しかし、その支店長は、上司の管理不足を認め、その責任は自分にもあると言及したのです。
ミスを起こした私に責任があるのは事実です。でも、背景まで含めて責任の所在を見極める姿勢に、私は深く頭が下がりました。
自分の目で見て判断するという姿勢
あるとき、私の言動を「部下に対するパワハラだ」と騒ぎ立てる上司がいました。
納得がいかず、支店長に相談したときの言葉は、今でもはっきり覚えています。
「あなたがパワハラをするような人間だとは思っていない。
誰が何を言おうと、俺は自分の目で見て、耳で聞いて、感じたことを信じる。
もしパワハラと言ってる人を見つけたら、その場で俺がしっかり対応する」
その一言で、私はもう何も言わなくていいと思いました。
公平さ、そして“判断する人”としての覚悟がそこにはありました。
信頼される支店長の共通点
これらの支店長に共通するのは、決して「完璧な支店長」だったということではありません。
● 他人の感情や噂に流されず、
● 自分の目で見て、耳で聞いて、
● 自分の頭で考え、自分の言葉で語り、
● 最終的に「自分の責任」で判断しているということです。
そこには、打算や自らの保身といったものはなく、事実を事実として捉えて、自分の信念に基づいて決断する。
人として一番大切なことに気づかされます。
こういう支店長の姿を見ていると、
最終的にはこういう人が信頼され、組織でも大切にされてほしいと切に願います。
まとめ:信念ある人に、希望はある
上っ面の良い顔をして、その場をしのぐ人もいます。
うわべの言葉で職員やお客様の信頼を得たつもりになっている人も、正直見てきました。
でも、私はやっぱり、
信念を持ち、自分の言葉で語り、判断できる人を支店長として、そして人として尊敬します。
そういう支店長が一人でも増えてくれたら、
私たち現場で働く人間も、もっと安心して働ける。
支店長という存在には、まだ希望があると思っています。
『銀行員の本音シリーズ、支店長編全5話』はこれで終わります。
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