資金繰り表の作り方と注意点|利益が出てもお金が残らない会社の共通点

融資を受ける

こんにちは。ワタナベミエです。

「利益が出ているのにお金が足りない」──。
創業間もない会社でよく聞く悩みです。原因は、資金繰りにあります。

銀行が融資を検討する際、損益計画だけでなく、資金繰り表(キャッシュフローの見通し)を重視します。
今回は、税金や賞与など“忘れがちな支出”も含めた、実践的な資金繰り表の作り方を解説します。


資金繰り表とは? 目的と基本構成

資金繰り表とは、月ごとの現金の入出金予定を一覧にした表です。
売上やその他の入金予定、仕入・経費・税金・借入返済などを月ごとに並べ、「いつお金が増減するか」「月末にどのくらいお金が残るか」を可視化します。

資金繰り表の目的は次の2つです。

  • 資金ショート(お金が足りない月)を事前に把握する
  • 資金不足に備えて融資のタイミングを適切に判断する

銀行目線では、「資金繰り表がある=経営の見通しを立てている」と評価されます。
つまり、融資を通す上でも非常に重要な資料です。


作成ステップ:月次の入出金を整理する

資金繰り表は、まず「入金」「出金」に分けて整理します。以下の項目を月ごとに書き出していきます。

① 入金の部

  • 売上金入金(現金・振込)
  • 借入金の入金(銀行融資など)
  • その他(補助金・助成金など)

② 出金の部

  • 毎月の支出:仕入・人件費・家賃・リース料など
  • 賞与支払い(毎年7月・12月など)
  • 固定資産税の支払い(年4回)
  • 自動車税の支払い(5〜6月)
  • 法人税・消費税の支払い(事業年度終了後2か月以内)
  • 借入返済金(元金+利息)

これらを月単位で一覧化し、月末残高を追っていくのが基本です。


資金繰り表のサンプル(テンプレート例)

下記は創業1年目を想定した簡易的なテンプレートです。

入金合計 出金合計 月末累計残高
4月 1,500,000円 1,300,000円 200,000円
5月 1,600,000円 1,550,000円 250,000円
6月 1,700,000円 1,850,000円 100,000円
7月 1,700,000円 1,850,000円 ▲50,000円

このように、7月で残高がマイナスになると予想されるなら「5月中に追加融資を検討」「支払い延期を交渉」など、早めの対策が可能になります。


忘れがちな“落とし穴”の支出に注意

資金繰り表を作る際、次のような「年数回しか発生しない支出」を忘れることが多いです。

  • 賞与(年2回)
  • 消費税・法人税の納付月
  • 設備投資(更新・修理)
  • 労働保険の年次精算

特に消費税の納付月は資金ショートの原因になります。 これは、売上が上がるたびに「仮受消費税」として預かっているお金を、一年分まとめて決算期の2か月後に一括で納付するので、納付時に資金ショートしやすいです。
特に創業初期の会社は、消費税の納付資金を「自社の利益」と勘違いしやすいので注意が必要です。

重要:
融資の現場では、創業して間もない会社が消費税の納付を見落とし、資金が足りなくなって相談に来るケースをよく見かけます。
消費税は売上に応じて発生し、決算後にまとめて支払うため、思わぬ資金不足を招くことがあります。
だからこそ、資金繰りを税理士任せにせず、経営者自身が現金の流れを把握・管理することが重要なのです。

実践編:Excelやテンプレートを活用しよう

資金繰り表は手書きでも構いませんが、Excelテンプレートを使うと自動計算ができて便利です。
日本政策金融公庫の公式サイトでは、シンプルで使いやすい無料テンプレートが公開されています。

自社に合わせて項目をカスタマイズし、「入金予定が遅れる」「支出が一時的に増える」などのケースも想定しておきましょう。


まとめ:資金繰りを“未来の羅針盤”に

資金繰り表は「お金の流れを管理するための書類」ではなく、経営判断のナビゲーションです。
赤字でも資金繰りが安定していれば会社は続けられますが、黒字でも資金が尽きれば倒産してしまいます。

月次で資金繰りを見直し、資金ショートを防ぐ仕組みを整えることが、創業後の安定経営への第一歩です。


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