銀行の内情はここまで理不尽 住宅ローン案件で起きた“意味のない30分”

銀行員の本音

こんにちは。ワタナベミエです。

銀行は合理的で、冷静で、ルールに基づいて動く組織。外部から見れば、そう思われているかもしれません。

しかし、現場では論理より感情が優先される瞬間が、確かに存在します。

今回は、住宅ローンの案件で実際に起きた出来事をもとに、銀行の内側で繰り広げられている現実をご紹介したいと思います。

住宅ローンの現場で起きた、よくある? 混乱

決まらない借入金額と設計変更の連続

住宅ローン担当の部下から、ある案件について相談を受けました。

その案件は、住宅の設計変更が何度も入り、ローンの実行金額がなかなか確定しない状況でした。

一度は、ある金額で保証会社の承認が下りたものの、その後の設計変更により、さらに増額した金額で再審査を申し込む流れになります。

金額変更で審査が振り出しに戻る銀行ルール

銀行のルールでは、金額を変更して再審査を行った時点で、以前の審査結果は取り消される仕組みになっています。

この時点で、手続きはかなり繊細な状態でした。

建築スケジュールと実行期限が現場を追い詰める

建築計画とローン実行時期のズレ

さらに状況を難しくしたのが、建築スケジュールとローン実行期限の問題でした。

工事の進捗や引き渡し予定があるため、ローンの実行時期には一定の制約があります。

ところが、設計変更が続く一方で、「いつ、いくらで実行するのか」という前提が固まらない。

担当者が板挟みになる構造

担当者としては、

  • 保証会社の再審査
  • 実行期限の調整
  • 建築スケジュールとの整合

すべてを同時に考えなければならず、身動きが取れない状態に追い込まれていました。そこで、担当者は管理職に相談しました。

「とりあえず戻せばいい」という思考停止

承認済み=簡単に戻せるという誤解

返ってきた指示は、驚くほど単純なものでした。

「一度承認が出ている金額があるなら、その金額に戻して、とりあえずローンを実行すればいいだろう」

実務を無視した管理職の判断

実務を知っている人間なら分かりますが、そんなに簡単な話ではありません。

  • 取り消された審査を簡単に元に戻せるわけではない
  • 保証会社との調整が必要
  • 何より、顧客がその金額・条件で本当に良いのか、意思確認が不可欠

それらをすべて飛ばした、完全な机上の空論でした。

顧客に確認しないという、管理職のありえない判断

穏便に済ませたい空気が生む歪み

さらに違和感を覚えたのは、「顧客とは、なるべく接触しない方がいい」という考え方でした。

ローンは、顧客の人生や資金計画に直結する契約です。それを、銀行内部で内密に処理できないかという発想が出てくること自体、理解に苦しみました。

顧客不在で進む意思決定

このままではいけないと思い、私は上司として仲裁に入りました。

話が通じなくなった瞬間、現場は止まる

「損害賠償」という言葉だけが独り歩きする

当たり前のことを、当たり前に伝えただけでした。

  • 承認が出ているからといって、簡単に元に戻せる話ではない
  • 顧客の意思確認を行う必要がある
  • 実行時期とローンの条件は、顧客と共有すべき事項である

すると、空気が一変しました。管理職から突然、「もしローンが実行できなくて、損害賠償されたらどうするんだ」という言葉が飛び出したのです。

なぜ損害賠償なのか…。管理職の言い分はこうでしたーー『顧客は会社の決算で節税対策として、住宅建築費用を経費に計上しようと考えていた。住宅ローンの実行が遅れることで、節税ができなくて損害賠償される可能性がある』という言い分なのです。

??? どんな法的根拠があるのか。そうした整理がされることはなく、ただ損害賠償という言葉だけが、感情に任せて何度も繰り返されました。

建設的な議論が崩壊した地獄の30分

こちらが冷静に説明しようとすればするほど、その言葉に被せるように、「損害賠償されたらどうするんだ」という声が返ってきます。

会議室に拘束された状態で、建設的な議論は成立するはずもなく、同じ言葉が30分以上続きました。仕事は一切進みません。

意味のない30分が、現場を消耗させる

声を荒げる人と、耐える人

あの時間に、建設的な意味があったとは思えません。

  • 大声を出す管理職
  • それを受け止めるしかない現場

その構図だけが、はっきりと残りました。理不尽で、滑稽で、そして何より、ひどく消耗する時間でした。

何も決まらず、何も進まない時間

仕事が進まないこともそうですが、意味のない怒号に付き合わされることが、いちばん消耗します。現場は、こういうところで静かに削れていくのだと思います。

銀行はなぜ感情的な組織になるのか

責任を回避しようする姿勢が生む判断

銀行は、合理的な組織ではありません。正確に言えば、合理的であろうとするが、感情からは逃れられない組織です。

肩書きが上だから正しいわけではない。声が大きい人の意見が通ることもある。責任を恐れるあまり、論理が後退する瞬間もある。

合理性より感情が勝る瞬間

そして、そのしわ寄せは、現場にいる人間が受けることになります。

この話をしたかった理由

誰かを責めたいわけではない

この話は、誰かを糾弾するためのものではありません。また、特定の人物や支店の話でもありません。

同じ構造が、今もどこかで起きている

こういう判断が起きてしまう構造が、確かに存在する——その事実を、話したかったのです。

銀行の内情に興味がある人にとって、そして自分の勤務先でも似たようなことがあったと思う人にとって、この話が何かの参考になればと思います。

補足解説:損害賠償って本当に起きるの?

本編では、住宅ローンの現場で実際に起きた理不尽なやり取りを記録しました。その中で繰り返された「損害賠償」という言葉。

そもそも、節税できなかったことを理由に、銀行が損害賠償されることは本当にあるのでしょうか。

私は法律の専門家ではありませんが、実務経験を踏まえつつ、公開されている情報や一般的な考え方をもとに、自分なりに調べられる範囲で下の記事で整理してみました。

▶ 節税できなかったら銀行は賠償するのか?現場で飛び交う“謎ワード”の正体

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