銀行員の本音シリーズ 第4話 : 語る支店長より、支える支店長に─銀行員が見た“器”の違い

銀行の支店長

こんにちは。

ワタナベミエです。

銀行員の本音シリーズ 支店長編もいよいよ第4話。

今回の記事は、最近の支店長の“器”についての話です。

語るだけの支店長と支える支店長

私がこれまで銀行員として働いてきた中で、心から尊敬できる支店長が何人かいます。

そのうちの一人が、取引先のお客さまについてこう話していました。

「経営者というのは孤独な存在だ。なぜなら会社のことを本当に心を開いて相談できる人がいないからだ。
銀行の支店長の仕事は、経営者が誰にも言えず一人で抱え込んでいる悩みを聞いてあげることだ。」

その言葉に、私は深く心を打たれました。

以来、私は経営者の「数字の奥にある本音」を受け止められる銀行員でありたいと、ずっと思って仕事をしてきました。


他人の言葉を“自分の言葉”のように語る人

ある日、別の支店長に「銀行員にとって一番大切な仕事は何だと思うか?」と尋ねられたことがありました。

私は迷いなく、尊敬する支店長のこの話を紹介しながら、自分が目指す銀行員像を語りました。

ところが後日、別の部下の会話の中でこう耳にしました。

「○○支店長が、“銀行員にとって一番大切なのは経営者の孤独を理解して悩みを聞くことだ”って語ってた。さすがだよね。」

それ、私が話した言葉です。
それを、自分が考えたかのように語る姿に、私は心の底からがっかりしました。


“過去の栄光”ばかり語っていても前には進めない

その支店長は、普段から昔の話を繰り返すタイプでした。

「昔はこんなに数字を取っていた」
「俺のやり方でやれば簡単に成果は出る」

そして、極めつけは今の仕事とはまったく関係のない、過去の自慢話
『学生時代にスポーツの大会で表彰されたこと』を誇らしげに語ったことでした。

正直、思いました。

銀行で何十年も働いてきて、今語るのがその話題なの?
……と。



支店長の「器」が小さく見える瞬間

最近の支店長の中には、「自分が部下より優れている」ことを誇示するような人もいます。

支店長の仕事は、部下と競争することではありません。

部下が成果を出したら、自分が超えられたと感じてムッとする。
部下の成果を認めず、自分になつく人だけを評価する。
実力があっても、従順でなければ正当に評価しない。

……そんな支店長が、残念ながら増えてきた気がします。
そんな姿を見るたび、「この人は上に立つべき人ではないな」と感じます。

支店というのは、個人戦ではなくチームで動いています。
その中で自分を大きく見せることに固執してしまえば、リーダーとしての信頼は築けません。
自分を持ち上げてくれる人だけを評価するのは、上司としての器が小さい証拠です。


語るより、支える。支えて、存在を背中で示す。

現代の支店長に必要なのは、「語ること」ではなく「支えること」

部下の仕事を信じて見守る。
困ったときには一言で支える。
成果は部下に譲り、自分は影で動く。
耳障りの良い言葉よりも、仕事に対して真摯な“姿勢”を見せる。

それが、私が本当に尊敬してきた支店長たちの共通点でした。


部下と競うな、部下を育てろ

自分を超える部下が現れても、「よし、やったな」と言えるか。
自分の好みじゃない部下でも、実力があれば正当に評価できるか。

それができる支店長こそ、“本物”だと思います。

今の支店長たちが、かつての支店長に比べて「小さく見える」のは、
その懐の深さが失われているからなのかもしれません。



まとめ:支店長という肩書きに、期待しすぎてはいけないのかもしれない

私はいま、支店長という役職に対して「昔ほど期待しすぎてはいけないのかもしれない」と感じています。

けれど、あの言葉——
「経営者の誰にも言えない悩みを、支店長が受け止めるべきだ」
その一言に込められた姿勢は、これからも自分の中に持ち続けたいと思っています。

“支店長の格”が低くなったのではなく、
“支店長の中身”が変わっただけ。

そう思うからこそ、私は自分のやるべき仕事を、静かに続けていきたいのです。

次回の記事は 『銀行員の本音シリーズ第5話 : 信念を貫く支店長たちがくれた希望』 です。

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