銀行員が察知する“危ない兆候”|破綻の前兆を見抜くリスクサイン

銀行員の本音

「なんとなく嫌な予感がする」──。

取引先を見ていて、そんな直感が当たることは少なくありません。数字の裏には“危ない気配”があり、破綻する会社には共通する空気があります。

本記事では、銀行員が日々の取引の中で察知している「危ない会社」の前兆を、返済遅延・粉飾決算・税金や社会保険料の滞納といった具体的なサインを通じて解説します。
「うちはまだ大丈夫」と思っている経営者の方ほど、一度立ち止まってチェックしてみてください。

破綻の前兆は、決算書よりも「日常の小さな変化」に表れる

会社が実際に行き詰まる前には、必ずといっていいほど前兆があります。しかもそれは、立派に整えられた決算書よりも、返済状況・税金や社会保険料の支払い・経営者の姿勢や仕事の選び方といった日常の中に表れることが多いのです。

銀行員が「危ないかもしれない」と感じるとき、特に注意して見るのが次の3つです。

  • 返済遅延と、その後の連絡の反応に変化が表れること
  • 粉飾決算や、それを疑わせる不自然な数字
  • 税金・社会保険料の滞納や差押え

これらの兆候が重なり始めたとき、破綻に向かうスピードは一気に加速します。

なぜ「返済遅延・粉飾・税金滞納」が3大レッドサインなのか

銀行員目線の結論

数字が悪くなること自体よりも、悪くなったときの「打ち手」と「優先順位」に、その会社の将来性が表れます。
返済遅延・粉飾・税金滞納は、その歪みが表面化した結果です。

破綻していく会社には、次のような共通点があります。

  • 売上が落ちても、原因分析より「目先の売上づくり」だけに走る
  • 採算の悪い仕事に飛びつき、気づけば赤字の仕事が増えている
  • 無理な要求をしてくる取引先など、本来距離を置くべき相手との関係が増える
  • 資金繰りの悪化を隠そうとして、数字を良く見せる加工に走ってしまう

このような行動の結果として、返済遅延や税金滞納が表に出てきます。つまり危ない兆候とは、資金繰りそのものより「経営判断のズレ」が表面化したものです。

危ない兆候① 返済遅延と「音信不通」──赤信号3段階

現場感覚でいうと、返済遅延は破綻に直結する最も危険なサインです。特に次の3段階が揃うと、状況はかなり厳しくなります。

  1. 第1段階:返済が遅れるが、連絡はつく
    電話すれば社長も対応し、「月末には払います」など説明があります。
  2. 第2段階:遅れが常態化し、説明があいまいになる
    「すぐ振り込みます」「いまバタバタしていて…」など、言葉が曖昧になり、入金も遅れがちになります。
  3. 第3段階:電話に出ない・折り返しがない
    督促への反応がなくなり、音信不通になってしまいます。

現場エピソード(要約)

売上減少が続いた建設業者がありました。最初は業況報告など丁寧に連絡をくれていましたが、採算の悪い仕事が増えるにつれ返済の遅れが常態化し、最終的には税金滞納の差押えを受け、連絡も取れなくなってしまいました。

返済が厳しくなったときに最も避けたいのは、「連絡を絶つこと」です。

危ない兆候② 粉飾決算――「少しだけ」のつもりが戻れなくなる

粉飾決算は、最初は小さな操作でも、いったん手をつけると戻れなくなるケースが多いです。

よく見かける粉飾のパターンには次があります。

  • 売上の前倒し計上(翌期分を今期に)
  • 在庫の過大計上
  • 経費の先送り

現場担当者の目線では、次のような違和感がある決算は注意が必要です。

  • 業績が悪化しているはずなのに、急に利益が戻っている
  • 設備投資や借入があるのに、数字の伸びに反映されていない
  • 決算説明が毎年“その場しのぎ”で、つじつまが合わない

こうした違和感の積み重ねは、粉飾の気配として伝わってきます。

危ない兆候③ 税金・社会保険料の滞納──「優先順位」が透けて見える

税金や社会保険料の支払い状況は、社長が何を優先しているかを測る指標になります。

資金繰りが厳しいときの一般的な優先順位は次のとおりです。

  • 従業員給与
  • 仕入れ支払い
  • 家賃・光熱費
  • 銀行返済
  • 税金・社会保険料

税金や社保を後回しにする状態が続き、差押えにまで発展すると、銀行は極めて厳しく見ざるを得ません。

差押えが入ったときの銀行の見方

差押えは「資金繰りが限界」かつ「行政との約束を守れなかった」状態です。この段階になってしまうと資金調達の選択肢が大きく狭まります。融資取引を継続できない可能性も高まります。

危ない兆候を感じたとき、経営者が取るべき3つの行動

危ない兆候を感じた場合、特に重要なのは次の3つです。

  1. 現状を「見える化」する
    ・資金繰り表を作り、いつ・いくら不足するのか把握する
    ・赤字の仕事・採算の合わない取引先を洗い出す
  2. 銀行・税理士に早めに相談する
    「返済が遅れそう」「税金が払えない」と感じた時点で正直に相談する方が、取れる選択肢が圧倒的に多く残ります。
  3. 後々トラブルになりそうな取引先とは距離を置く
    ・採算を無視した受注や、条件の悪い仕事を押しつけてくる相手とは関係を深めない
    ・横柄・不誠実な態度の相手とは、早めに線を引く

銀行の役割について

銀行は“数字だけで判断する存在”ではありません。無理なく返済できるよう資金計画を一緒に整える相手です。
資金繰り表・粗利設計・運転資金の管理──この3つを見直すことが再生への第一歩です。

破綻は「突然」ではなく、「前兆」を見逃した結果として起こる

多くの経営者は「急に状況が悪くなった」と感じますが、破綻には必ず前兆があります。

  • 返済遅延が増えている
  • 決算説明が苦しくなっている
  • 税金や社会保険料の支払いが後ろ倒しになっている

前兆を「まだ大丈夫」と見過ごすのか、「今が踏ん張りどころ」と向き合うのかで、結果は大きく変わります。

少しでも心当たりがあれば、資金繰り表を作り、信頼できる専門家や金融機関に相談するところから始めてみてください。


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